苔始めました・その3

《前日のエントリーからのつづき》

渾身の技など一切必要なく,と再三書いている通り,
これは別に秘術でも何でもなくて,
盆栽界では普通のやり方です。

まず用意するのは剥がしてきた苔の固まり。
次に苔の緑の部分を鋏で切り落とします。

切り落とした部分と土を適量混ぜたら
鋏で土と苔をみじん切りにします。

剥がしてきた苔の固まりには
土が付いているはずなので,
緑の部分と土の部分の分量が適切であれば
固まりをそのままみじん切りにして構いません。

土は,見た目の問題も含めて赤土がいいでしょう。
フルイで抜いた微塵を混ぜると手っ取り早いです。

こうすると苔の粉末と土の混ざった
「苔フレーク」が出来上がります。
080522-3.jpg
(ここでは赤玉土を混ぜたので,
土が目立ってしまっています。)

このフレークを,土の上に均一にまいてゆきます。
ただまくだけでは水遣りの際に流れ出たり,
風に飛ばされる場合があるので,
上から軽く叩いて押さえつけます。
苔が表土の谷間に入るようにするのがポイント。

こうしてまき付けたら,
あとは普通に水を遣っていればOK。
かなりの確立で根付きます。

苔が常に水分を含んだ状態にしようと思うと
恐らく植わっているメインの植物が水分過多になるので,
普通に灌水する合間に苔が乾いたら
霧吹きで表面にだけ水を補給するといいかもしれません。
(わたしはそこまで手間をかけられない。)

以上の方法は人によって多少の違いはあると思いますが,
大筋は大体一緒です。
盆栽=おじいちゃんの趣味と思っているそこのアナタ,
盆栽の技術をあまりバカにしないほうがいいですよ。

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苔始めました・その2

《前日のエントリーからのつづき》

渾身の技など一切必要なく,
生やした(生えるように仕向けた)苔。
080522-1.jpg

この苔は貼り苔ではありません。
土の上に直接根付いています。

所々に土が見えているのがわたしの限界で,
これを全部苔で埋め尽くすことは
本気になれば恐らく可能ですが,
苔への思い入れがあまりないので
そうする気力がありません。

ある程度根付けば後は勝手に広がるだろう
という期待もあり,一部に生やして
おしまいにしています。

次は,盆栽をやってみようと思い立って
初めて作った寄せ植えの一つ。
080522-2.jpg

この春に植え替えた時は
ほとんど苔が生えていなかったので,
少しは生やしてみようと
わずかばかり誘導しておいたら,
いつの間にかこんもりと苔が生えていました。

こうなったのは恐らく棚の上で
日照,通風,湿度などの条件が偶然重なったからで,
もう一度同じことをやれといわれたら
出来ないかもしれません。
これもまた,わたしの限界。

それよりなによりここまで元気に育ったのは
あくまで苔の力であって,
わたしはほんの少しその手助けをしたに過ぎません。

次回はいよいよ渾身の技など一切必要なく,
苔を生やす方法の紹介です。

《翌日のエントリーへつづく》

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苔始めました・その1

ブログの中で度々,
苔について否定的なことを書いてきました。

しかし,わたしは別に
「苔を愛でる人の気持ちが分からない」
「あんなものの観賞価値は認めない」
と言いたいわけではありません。

鉢の中で植物を育てる場合,土の表面に苔があると,
・土の乾き具合が分かりにくい。
・虫が湧く。
・乾燥した苔は水を弾くので,水遣りに支障が出る場合がある。
といった弊害があり,
苔にとらわれることで植物栽培の本質が
おろそかになる恐れがあるのです。

また,苔の美しさは自然に生えてこそのもので,
貼り苔はその場しのぎのまやかしに過ぎず,
最後は駄目になってしまう場合が多いので,
そんな物をありがたがるのはどうかと思うのです。

とある苔の研究者が,著書の中で
「苔というのはそこに生えているものであって,
生やすものではない」と書いているそうですが,
その方の意見にわたしも賛成です。

が,
「そんなことを言っても結局お前は
苔を生やす技術がないのだろう」
と世間の人に思われることを
わたしの俗な虚栄心が良しとしないので,
渾身の技は一切必要ないまま
盆栽の土の上に生やしてみました苔。

《翌日のエントリーにつづく》



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庭づくりとは・その3

《前日のエントリーからのつづき》

ふた月ほど前,TBSテレビ『情熱大陸』に京都の庭師が出た事がある。

今回のテレビチャンピオンでもそうだが,
一部の(あるいは多くの?)庭師はやたら庭に苔を「貼る」。

貼った苔がそのまま美しく根付くことは少なく,
枯れたり剥がれたりしたらまた貼り直すことになり,
それがとりもなおさず庭師の仕事となる。

アスファルト舗装のやり直しで土建屋が儲かるのと
同じ構図といったら怒られるだろうか。

わたしは盆栽に苔を生やす趣味はないが,
鉢の上に自然に生えた苔を見慣れているせいか,
貼り苔の不自然さがどうにも気になって仕方がない。

苔を革に例えると,広い面積に自然に生えた苔は
傷ひとつない一枚革である。

一方,貼り苔は細切れの革を貼り合わせて作ったモザイクである。

スーパーブランドの高級革カバンは,
普通一枚革を贅沢に使って作られる。
その方が希少価値が高く,高価だからである。

一方,苔はどうだろう。
いくら自然に生えた苔が美しいといっても
苔に万金を払う者はそうはいない。

長い年月をかけて苔を自然に生やすような
効率の悪い仕事はプロの庭師はやらないし,
客の方も自然な苔の本当の美しさを求めているわけではなく,
緑色の固まりで土を覆い尽くしておけばそれで満足なのだろう。

そもそも苔の生育にあった立地の庭でないと,
自然な苔の生育は望めない。

こうして良貨は悪化を駆逐するの例え通り,
手っ取り早い貼り苔が当たり前になってしまった。

わたしには,貼り苔は下手な厚化粧にしか見えない。

そう言うことで世間から変人扱いされても
わたしは一向に構わない。


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いい苔,ダメな苔

コケと一口に言っても種類が色々ありまして,
中には美的に優れたコケとそうでないコケがあります。

ゼニゴケは論外として,もう一つ駆逐せねばならないにハイゴケがあります。
の名のとおり地面を這うように伸びていくのですが,
これが木の幹にまで上って行ってしまうのです。

こうなると見苦しいことこの上なく,
ハイゴケが幹まで上っている盆栽=手入れしていない盆栽
と判断してほぼ間違いありません。

写真は寄植えのモミジの幹にいつの間にか生えたハイゴケ。
haigoke0628.jpg
撮影後,早速むしり取りました。
ゼニゴケと違ってわりあいと素直に剥がれるので,
その点は許せます。

近年,玉を中心にハイゴケをありがたがる風潮があります。
ハイゴケは面状に剥がれるので泥団子に巻き付けるには適しているかもしれませんが,
これをきれいと思う感覚はちょっと理解できないです。

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プロフィール

Author:盆栽中年とその周辺
盆栽好きだった祖父と暮らして,盆栽と盆栽業者と盆栽業界を見つめ続けてウン10年。
曲げたり寄せたり削ったり人形乗せたり苔張ったりと,心病める現代人の歪んだ全能感を満たす箱庭療法に成り下がった今時の盆栽に背を向けたひねくれ者の,月刊「近代盆栽」の提灯記事には騙されない日常。

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